印象派の足跡を辿って Sur les pas des impressionnistes

印象派を辿って Sur les pas des impressionnistes
リスル=アダン・パルマン駅から上り坂
ここのところ、晴れのち土砂降りの日が続き、ランドネの計画もままならないのだが、今朝は雲一つない快晴!天気予報を見ると、午後からは雨マークもあるが、フランスの天気予報は当てにならないし、急遽ランドネの準備。 今朝もRERは嫌だ、というので、久々、パリの北、ヴァル=ドワーズ県のトポ・ギッドを開く。

晩年のゴッホの村、オーヴェル=シュル=オワーズ付近を廻るトレイルは27kmあるが、複数の駅を経由するので、途中までなら20kmくらいということで、このPR13をチョイス。見出しには今もゴッホやセザンヌが描いた風景が見られる十字架の道、とある。

北駅からリスル=アダン・パルマン駅迄はH線で一本。各駅で揺られること1時間弱。進むごとに雲が増え、到着したときは青空は見えず、灰色と白の雲で空は覆われていた…。

リスル=アダン・パルマン駅から上り坂を上がると農地


農地に立つ良く分からないバリザージュ
駅からは真っすぐ坂道を上り、あっという間に田園風景。野うさぎが駆け足で目の前を通り過ぎる。麦のグリーンと菜の花畑の黄色のコントラストが眩しい!と思いきや、畑の十字路にバリザージュ。PR13はGR1と共通するトレイルもあるのだが、CH4とかよくわからない指示が…。私はどちらかと言うとビジュアルで理解でトポ・ギッドの地図を見るんだけど、エンリックは文章を読む派。よくわからないので、曲がってみるが、やはり違う気がすると、引き返して、地図では森で曲がる感じだし、真っすぐに進むことに。


ヴァル=ドワーズの十字架の道の十字架1
なんてやってるうちに、雨が降って来た!畑のど真ん中だよ〜。風もあるので、森まで駆け足で前進。以前はポンチョを携帯してたのに、今日に限ってなし。私はとりあえず日よけ帽子を装備。雨はあっという間に上がり、気を取り直して前進。『十字架の道』とあったが、本当にこのトレイルには至る所に十字架が見られる。それなのに、なぜこのトポ・ギッドで目印として記されていないのかが、不思議!?


雨に喜ぶエンリック


雨のせいで森の中も抜かるんで足下が滑る。森を出るとキャンプ場の表示があって、馬のいる牧場。そして、ネスレ・ラ・ヴァレの村に向かうのだが、ここも表示が危うく、迷う。というのも、おそらくヴェクサン・フランセ自然公園に指定されているので、お散歩コースがあり過ぎるのだ。こういう時、自前の拡大地図があればいいのだが、トポ・ギッドの地図は他のトレイルが表示されていないだけに、反対に分からなかったりする。

馬 ヴァル=ドワーズの十字架の道の十字架2 ヴァル=ドワーズの十字架の道の十字架3


ネル・ラ・ヴァレの教会
そしてネル・ラ・ヴァレの村でも引っかかる。文章では『右に教会を残して…』なんて表現で、なぜか教会の右を進むエンリック。私的には左だったんだけど、なにしろバリザージュが交差し過ぎ。村の外れまで歩いて、どーなってんだ、と切れる。さらに、雨が降って来て、古い農家の廃墟で雨宿り。もう僕は帰る、このトポ・ギッドに文句を送ってやるといいながら、教会まで戻り、私的には地図ではこっちだよ、と正しい道へ。今日何回目の間違い?ま、文章も『教会の左を進む』とシンプルに書けば良いのに、何か文学的なのか何なのか…。

洗濯場を横目に林に入ると、広い庭を抱える一軒家が連なる。太陽と雨が繰り返すように激しく変わるエンリックのご機嫌。私は今朝、首を寝違えたようで、朝からいたかったけど、どんどん痛くなって来て、トロトロ歩く。



洗濯場


ラ・ナゼの村にも十字架。ここからPRを下って、駅に降りるルートもあるが、先に進むことに。森を登ってる途中で、また大雨だ。雨に濡れた植物達は天気雨に輝き、美しさを増す。

ヴァル=ドワーズの十字架の道の十字架4  ラ・ナゼ 雨の中、印象派の森

農地に出ると空が広がり、青空と黒い雲のパッチワークがよくわかる。菜の花は日本ではおひたしにして食べれるんだよ、と採取しようかとも思うが、フランスの菜の花は不味いのかもしれない、と辞める。トウモロコシを盗んでおいしかったことが一度もないし…。畑の真ん中にも十字架。


 ヴァル=ドワーズの十字架の道の十字架5



 

遠方に見えるエルヴィルにはお城があるように見えたが、近づくとどうやら工場。村にももちろん、十字架。今日は道を間違えたり、雨宿りしたり、全然進まず、もう14時半なのに、まだ弁当を食べていない。

 ヴァル=ドワーズの十字架の道の十字架6 エルヴィル

というわけで、この村で弁当を食べる場所を探す。エンリックは雨が降っても大丈夫なようにと木陰を選ぶが、道路脇の壁に向かってご飯と言うのも寂しいではないか。やはり、地平線が見える開けた場所で、と村はずれの小さな塀に座って、広がる空を眺めながらランチ。今日は昨日のロースト・ポークとサラダ菜を挟んだサンドイッチ。日頃の行いが良いからか、ご飯中は雨には見舞われず。

エルヴィルのランチを食べたところ
エルヴィルのランチを食べたところ

この村には歴史的建造物に指定された教会があり、『その前を右に曲がる』とあるが、教会への入口は脇にあり、どこを正面として右に曲がるのかがまた分からない…。五方角に分かれた各道のバリザージュを確認して、進行。村を出るとまた農地で、今度はりんご園だ。フランスのブドウの木が全て背丈以下に設定されているのと同様、リンゴの木も低く剪定されている。通路を残して、壁を形成するように延びるリンゴの木。この小道に小型農機を入れて、収穫をするのではないだろうか。日本のりんご園と違うのは、やはり農地が広大だからかな?そんなリンゴの木は地平線まで続く。

エルヴィルの教会 フランスのリンゴ園


ここまで来て、バリザージュの不在に一抹の不安。というわけで、もう一度、戻って確認するが、大丈夫だったらしい。農地は延々と続き、広がる雲模様を気にしながら前進。
『道路を渡った後、100m進んで右に曲がる』を読まずに、進んでいたので、また戻る。道路を渡った時には前進のバリザージュを確認したが、曲がる場所は農地の真ん中なので、何も目印がない。こういう場合、親切な場合は、前進+100m右みたいな規定では決められていない変わったバリザージュがあったりして、ランドヌールの気を引こうとするはずだが、それがなかったので、このトレイルのバリザージュは親切ではない…。

印象派の足跡を辿って

森の足跡
気を取り直し、今日何度目の間違いか分からなくなってきたが、正しいトレイルに入ると、森の中。ぬかるんだ足下に、気になる足跡。誰の足跡かな?

森を抜けるとロデオの牧場と地図にあるが、柵の遠くに何頭かの馬が見られるだけ。目的地のオーヴェル=シュル=オワーズも間もなくで、オワーズ川がちらほらと見え、遠くには町も見えてきた。ライラックが至る所で見られ、少しお土産に莟の小枝を頂くことにする。

オーヴェル=シュル=オワーズの秋田犬
そろそろ帰りの電車の時間も気になりだすが、まだオーヴェル=シュル=オワーズの手前。ムリエールの小道を進み、ポール・セザンヌの『オーヴェールの首吊りの家』の前を通ると言うトポ・ギッドに反して、ムリエールの小道の前にバッテン!それでも書いてあるようにと進んでみると、猛烈な勢いで駆け寄って来たのは秋田犬の群れ!どうやら日本犬のブリーダーのようで、20匹くらいの日本犬が柵越しに吠えている。ムリエールの小道はやはり行き止まりで、引き返す。

また農地の横を歩き、やっとオーヴェル=シュル=オワーズの村に入って行く。オーヴェル=シュル=オワーズはずいぶん前に、観光をしに来たことがあるが、余り地理感がない。村の中は観光客でにぎわい、観光パネルもある。18時過ぎにパリへ直行の電車があるが、もうすぐ18時になるので間に合うか分からない。でも、ここまで来たからには、ゴッホの家の前は通りたい。

ゴッホの描いたオーヴェル=シュル=オワーズの村役場
一応、ラヴー亭、市役所をファインダーに納め、満足して駅に直行。ぎりぎり、5分前で直行便に間に合う! 行きのモダンな電車と異なり、ハイシーズンの週末にのみ運行する直行便は古い情緒ある電車だ。

私が持っているヴァル=ドワーズのトポ・ギッドは2006年版のもの。現在2011年版が発行されているので、分かりにくい表現や新しいトレイルなど改正されているのかもしれない。よく考えると、今まで迷ったトレイルはそういえば、いつもヴァル=ドワーズだったような気がする。
とりあえず、今日は11時から歩き出して、18時到着と7時間の行程。とはいえ、迷ったり雨宿りして、正しい道を究めたので、次回はオーヴェル=シュル=オワーズを散策する時間も取れるかもしれない。トレイル自体は景色も良いし、良い感じの起伏を帯びていて、中々気に入ったので、またリベンジとなることでしょう。

Sur les pas des impressionnistes 印象派の足跡を辿って

Val-d'oise : PR®13
距離 : 28km(今回はAuvers-sur-Oise駅までなので、2/3行程)
所要時間 : 7時間半(今回はAuvers-sur-Oise駅までで、間違えたので7時間)
出発 :  l'Isle-Adam - Parmain駅
到着 : l'Isle-Adam - Parmain駅(今回はAuvers-sur-Oise駅まで)


オーヴェル=シュル=オワーズへの直行電車

期間 : ハイシーズン(2012年3月31日〜2012年10月21日)の土、日、祝
行き : パリ北駅10:08発 - オーヴェル=シュル=オワーズ10:43着
帰り : オーヴェル=シュル=オワーズ18:06発 - パリ北駅18:39



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