GR21 サン=ヴァレリー=オン=コーからサスト=ル=モコンドュイ

パリのサン・ラザール駅を8:53に電車で出発し、イヴトでバスに乗り換え、サン=ヴァレリー=オン=コーに着いたのは11:35。ここのところ最高気温が25度とかいう真夏日が続いていたのに、今日からは曇りで最高気温は10度台。サン=ヴァレリー=オン=コーは小さな町だが、両脇が断崖に囲まれたカジノや飲食店もあるちょっとしたリゾート。初日は20km以上あるトレイルなので、町を散策する暇もなく、足早に海岸に出、GR21を見つける。階段を上り、断崖に上がると風が強い。エメラルド色の海が広がり、水平線は少し曇っていて定かではない。

サン=ヴァレリー=オン=コー Saint-Valery-en-Caux

リンゴの木が植わった林を歩き、菜の花畑に出る。黄色とグリーンの地平線が綺麗！海岸沿いを歩くと思いきや、恐らく海岸から約200m位の畑の道を延々と歩くと、パルエル原発にぶちあたる。3月に起った福島第一の事故から原発への関心が高まる今日この頃だが、この原発は80年代に作動したもの。ぐるっと原発を囲んで廻るので、興味深く観察してしまう。原発を抜けると、ヴレット=シュル=メールに。

パルエル原発 centrale nucléaire de Paluel

小さなビーチだが、海岸にはキャビンが並び、夏には海の家が連なるといった雰囲気。河口に位置し、海の側の草原には牛が放されていている。海と牛というのは、自分の中ではミスマッチだが、モン＝サン＝ミッシェルの塩が利いた羊のように、海風に煽られた塩味の牛肉や牛乳なのかもしれない。この小さなビーチにも観光案内所があり、その脇には公衆トイレ。ビーチには公衆トイレが多いので、海岸沿いはトイレには困らないというのはポイントが高い。

ヴレット=シュル=メール Veulettes-sur-Mer

ビーチからは、蛇行した上り坂。高台に海を望む別荘を訪ねながらクネクネ登ると、あっという間に緑の地。いろんな牛や馬に挨拶しながら、農地を歩く。

ノルマンディーの家は海岸沿いに見られる所謂別荘と言った豪邸、そして農地では茅葺きの家が見られる。五箇山では茅葺きを守ろうと世界遺産となった合掌造りだが、ノルマンディーでは茅葺きの家がたくさんあるので、びっくりだ！

今日の目的地、サスト=ル=モコンドュイまでは内陸の農地を延々。通りがかる村には商店というものは見られず、パリから行くと地元の生活が想像できなかったり…。で、サスト=ル=モコンドュイの到着前には、急な坂を登り詰め、文明の栄える大きな村を期待していた訳だが、観光所はあるものの唯一のバー・タバは閉まっており、唯一のパン屋とその隣にある小さな食品店が開いていたのみ。着いたのは18時過ぎで、到着の冷たいビールにはありつけず、町外れのシャンブル・ドット、レ・ブリュイエールへ。18世紀の農家を改装したケベックの夫婦の宿で、内装も素敵。庭には馬、牛が放牧。

サスト=ル=モコンドュイの城（ホテル・レストラン）

今日の宿はレ・ブリュイエール

夕食は村の唯一のレストランへ。村のレストランと言うからには、庶民的なレストランをイメージしていたら、どちらかと言うと高級レストランのル・ルレ・デ・ダル。一番安いムニュがなんと34ユーロで、チーズをパスすれば29ユーロと言うことで、勿論29ユーロコース。アミューズ・ブッシュから始まる食事には泥まみれのトレッキングブーツで申し訳ないという感が絶えないが、ここしか食事の場がないので許してくれ、だ。ちなみに、日没が遅くなった春とはいえ、町外れの電灯のない宿に戻るには不安が募り、暗くなる前に帰らなきゃ、と早々にレストランを後にする。キャンプじゃなくても、懐中電灯は役に立つときがあるのだ、と次回のランドネの教訓とする。