シュヴルーズの文化遺産の日 Journées du Patrimoine


エンリックとトモエちゃんが出稼ぎに行ってるので、ランドネは休みかな、と思ったけど、今週末は文化遺産の日Journées Européennes du Patrimoineだし、せっかくのいい天気なので、ミワちゃんを誘ってシュヴルーズのジャン・ラシーヌの道へ。 3回目なので、トレイルも分かってるし、アクセスもRERのB線で一本だし、何度行ってもまた、行きたくなるシュヴルーズ。 文化遺産の日は、普段開放されていない文化遺産が一般公開されたり、それにまつわるイベントの開催、そして博物館や美術館が無料になったりする日なのだ。

北駅のホームで待ち合わせ、いざ出発、なのだがRERがおかしいことに。反対方面のロワシー空港行きが工事とかで、ダイヤが乱れ、電光掲示板の表示もしばし、消えたり。こういうときこそ、構内放送や車掌がメガホンで案内して欲しいところだが、遅れて入って来たシュヴルーズ行きは向えのホームに表示され、さらに進行方向逆から来場。乗客の中でも、これはシュヴルーズに行くのかな?でも反対から来たよね、と不安を交わしながら、乗車。車内案内もなく、ブザーとともにドアが閉まり、正しい方向に動き出して、やっとほっとする。

クベルタンの放牧場のサギ heron
RERの遅れで予定より遅く、サン=レミ=レ=シュヴルーズ駅へ到着。駅を出ると、緑の高台に囲まれた谷の景に、『無理して遠出しなくても、近間にも素敵なところがあるね』とミワちゃん。同感だ。通勤距離でも週末一泊旅行で、のんびりするのも悪くないと思う。駅の側の放牧場ではいつものように、牛達が日向ぼっこ。牛に交えて、動かないのでオブジェかと目を疑ったのが、サギ。よく見ると、すごいゆっくり足を動かしました。これは虫を狩るポーズでしょうか?

東のシュヴルーズの村へ行く途中にある、フォンダシオン・ド・クーベルタンFondation de Coubertin。イヴォンヌ・ド・クーベルタンが鋳造師を育成するアトリエを開き、彼女が死去後、基金と成ったという。オペラ・ガルニエ座やヴェルサイユ等の金ぴかの像の修復を請け負うという鋳造工房があり、工房は一般公開されないが、20世紀のブロンズ像等がたくさん設置されている英国調の庭園や館内では展覧会があると言う。しかし、文化遺産の日だと言うのに開館時間は14:00〜18:00のみで、訪れた時間には閉館。

フォンダシオン・ド・クーベルタンFondation de Coubertin
フォンダシオン・ド・クーベルタンFondation de Coubertin

気を取り直し、シュヴルーズへ。村の行き方は何通りもあるが、なめし革の工房の為にイヴェット川の支流を村に引いたという水路の道をチョイス。花で飾られた小さな橋がいくつも連なり、反対岸には工房が活動していた当時の廃墟となった水場が見られる。

シュヴルーズの水路

村ではちょうどフェスティバル・マニフィックFestival Magnifikという音楽祭が開催されており、いつもにはない賑わい。教会前には仮設アスレチックやコンサート用のステージ、屋台が並び、村の飲食店などでもライブが行われる。

息を切らしてマドレーヌ城に登ると、そこは中世の世界。民芸博物館から出て来たような黒い大鍋で何かをぐつぐつ。当時のレシピを使った料理教室や剣術のワークショップ、ダンス等のイベントが繰り広げられていた。
11世紀中旬から建設されたマドレーヌ城。主塔は14世紀に建てられた扶壁に支えられ、2つの塔を結ぶ通路から、イヴェットの谷とシュヴルーズの村のパノラマが楽しめる。

文化遺産の日で賑わうマドレーヌ城マドレーヌ城から望むイヴェットの谷

今回の目的地はジャン・ラシーヌの道を通り、ポール=ロワイヤル・デ・ション国立博物館なので、先を急ぐことに。ジャン・ラシーヌの道は道しるべが多く、3回目なので絶対迷わない、という確信があったのに、女2人のトレッキングは積もる話に花が咲き、分岐点をどうやら間違えてしまったらしい…。その上、地図も忘れて来た。と、焦る私。ミワちゃんは、『それでもいい感じの道だ』と言ってくれるのでプレッシャーは少ないものの、影の位置から方角を割り出して、トレイルに戻れるように考え、森へ向かう。森に入ると、なにやら人気が多い、と思ったらガールスカウトとボーイスカウトの団体様がポール・ロワイヤルセンターと言う施設にうじゃうじゃ。ポール・ロワイヤルと言うことは、目的地も近い!とちょっと、ほっとする。その先に博物館への矢印を見つけ、無事に到着!

予定通り、文化遺産の日なので、博物館もお庭も無料。庭園は急斜面に成っており、その高台に博物館が位置する。緑のパースペクティブを望みながら、芝生の斜面でランチ。快晴で日当は暑いが、木陰でいると寒くなってくるので、もうすっかり秋だ。
昼食の後はせっかくなので、博物館も見学。コレクションは17-18世紀の絵画やデッサン、オブジェを通して修道院の歴史を語ると言うもの。

ポール=ロワイヤル・デ・ション国立博物館ポール=ロワイヤル・デ・ション国立博物館の庭から望む緑のパノラマ

帰路は本来のジャン・ラシーヌの道を辿ることに。午後はトポ=ギッドを片手に散策する人にたくさんすれ違う。この地域のトポ=ギッドはまだ持っていないので、やっぱり買おうかな〜と考える。ミュールのコンフィチュールのレシピを検索していたら、ペクチンが多い果物なので、すごく固まると言うので、もう一度作りたいとミュールを採るが、やはり人手が多い散策道では手が届くところには実ったものが少ない…。いつもと、反対方向に歩くトレイルは、又違った景色に見える、とまたおしゃべりをしていたら、いつの間にかまたトレイルを外れていた。外れたと言うより、違うPRトレイルに入っていたのだ。ま、シュヴルーズに戻るトレイルなので、問題はないけど、3回来て、3回とも違うトレイルを楽しんだと言うのは、それもそれで良かったかも。

村に着くと、まだフェスティバルで賑わっており、カフェのテラスでビール休憩。ミワちゃんはたった一杯でいい気分になっちゃて、やはり水分補給がたりなかったからビールを目一杯吸収したのかも。

クベルタン農場のビティック
そして、最後のお楽しみのクベルタン農場。閉店時間が迫っていたので、ブティックへまっしぐら。野菜は売り切れていて、隅っこに大きなエシャロットがごろごろ入った最後の袋を発見。2ユーロだったので、ミワちゃんと分けることに。あとは、いつも通り、牛乳、ヨーグルト、チーズ、そして卵。スーパーでは一番安い卵、放し飼い卵、有機卵と価格のランクがあるが、ここは放し飼い卵なのに、6ケで1ユーロと格安。やはり産地直送は安く新鮮。

買い物の後、農場を散策。ブティックの裏側で山羊の乳搾りが行われていた。乳搾り台には10ケの餌箱が設置されている。乳搾り前と後の柵が分かれていて、前の柵で餌が食べてくて山羊達は列を作って待っている。係の人が柵を開けると、餌台に一頭一頭飛びつき、一番奥の台に頭を入れると次の台の扉が開く、と言う簡単なシステムで、きれいに奥から順番に10頭が並ぶようになっている。で、一生懸命、餌を食べている間に、係の人が乳をさっと拭き、乳搾り器をあてがえるのだ。ヴィルタン農場の近代的設備でガラス越しにターンテーブルにのった牛達を見た時は幻滅したけど、ここの乳搾りは手工芸的で好感が持てた。働くなら、これくらいの小規模なフレンドリーな農場が良いな〜と思う。

クベルタン農場の山羊の乳搾りクベルタン農場で生まれたばかりの子牛


乳搾りのシンプル且つ画期的なシステムに見とれていると、なにやら農場の男性群が声を上げながらやって来て、観客に乳搾り小屋にみんな入ってくれ、と交通整備。大きな泥まみれの牛が現れ、どうにか誘導先の子牛小屋の大きな柵に入る。なんだ、暴れ牛か?と思うと、お腹が大きいような気も。農場の人が水をかけて泥を洗い流し、藁で体を拭いて綺麗にしてあげる。もしかして、これから出産?と思っていると、今度はよちよち歩きの黒い子牛が登場。今、生まれたばかりらしい。足がまだしっかりしていないものの、よろけながら4本足でたっている赤ちゃん牛。カメラを向けるとちょっと母牛の殺気を感じたが、どうにかファインダーに納めることができた。

というわけで、今日の大収穫は生まれたばかりの子牛に出逢えたこと。エンリックがいたら、もうビーフは食べない、とか極端なことはいいそうなので、見せてあげたかったけど、いなくて良かったかも。

駅に着くと、一分後に出発すると言うRER。切符を買わなければならないので、ま、その次でもいいか、とのんびりしていたら、今日のダイヤの乱れのせいか、全然出発する気配がなく、そのまま乗れることに。日が沈むのも早くなり、車窓からピンクの夕焼けのグラデーションを楽しみながら、パリへ帰宅。

シュヴルーズの谷地方自然公園 Parc naturel régional de la Haute Vallée de Chevreuse

出発点 : Saint-Rémy-lès-Chevreuse駅(パリからRER B線でSaint-Rémy-lès-Chevreuse行き終点)
サイトからジャン・ラシーヌの道のパンフレットがダウンロードできます。
www.parc-naturel-chevreuse.fr

フォンダシオン・ド・クーベルタンFondation de Coubertin

www.coubertin.fr

クベルタン農場 Ferme de Coubertin

78470 Saint Rémy lès Chevreuse
TEL: 01 30 52 00 19
営業時間 : 9:00〜10:30、16:30〜19:00、冬期9:00〜10:30、16:30〜18:30、7、8月16:30〜19:00(夕方に乳搾りのデモンストレーションあり)
www.ferme-de-coubertin.fr

ポール=ロワイヤル・デ・ション国立 博物館Musée de Port-Royal des Champs

www.port-royal-des-champs.eu



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